経済学において確率変数を扱うことは多い。特にAR(1)過程に従う外生ショックが主流だ。例えばがAR(1)過程であるとは
である。 ショック項が正規分布に従う場合、も連続確率変数となり数値計算では扱えないので、Tauchen (1986)やRouwenhorstの手法でマルコフ過程として離散化することになる。
今回、いつもわからなくなる遷移確率行列と、2つ以上のマルコフ過程が合わさったときの遷移確率行列の作成、動的計画法におけるインデックスゼーションについてかんたんにまとめておきたい。
- 遷移確率行列のおさらい
n状態のStationary Markov Processを考える。遷移確率行列は行列で
数学的に正しい定義は縦が今期の状態ごと、横に来期ごととなる。すなわち、このは状態から状態への推移確率になる。 覚え方は"Row(行) is Now"。行は今期の状態を所与とした確率になる。
経済学、特にHeterogeneous Agents Modelでは非可算無限な経済主体を考える。例えば、各Stateにおけるagentsのmeasureを縦に積んだサイズベクトルがであるとする。この場合、このTransition probability matrixから求められる来季のDistributionは
となる。
同様に、Standard Aiyagari modelを考えた場合に、数値計算でValue functionの期待値を考える場合は、Value functionの値を格納した行列をとしたとき、サイズの遷移確率行列によって
で求められる。
(の要素は、来季の期所(state variable)のassetがグリッドであったとして、今期のlabor productivity shockがだったときのValue functionの期待値)
- 2つ以上のMarkov ProcessのindexとTransition Probability Matrix
Markov process2つを考える。この場合、Aiyagariの簡単な拡張として 2 exogenous states model(no aggregate uncertainty)とすれば、state variableはassetと2つのショックを入れて3つのになる。
これを数値計算で解くときにValue functionやPolicy functionの次元を3次元にすればindexは簡単になるが、遷移確率の扱いが面倒くさくなるので、とにかく2次元にしたい。
仮定として、 とする、すなわち、は個の、は個の値を取れるとする。(上記でsetの{}が数式モードで出せなかった。)
このとき、縦にassetとして、横にexogenous stateを取った2次元行列を作成する場合、以下のような順序で取るのが好ましい。
この場合、遷移確率行列がですぐに求まる。3つ以上のMarkovの合成も、同様にして
とすれば、遷移確率行列がとなるはず(俺がクロネッカー積の定義を間違えてなければ)
問題は、何列目が一体どのstateを指すのか、もしくは任意のの組み合わせは何列目に当たるのか(ここなくても今後困らない気がしてきたから気が向いたら書く、必要な場合は、A practical Guide to Parallelization in Economics (Fernandez-Villaverde & Valencia 2018)の記事内かGithubのサンプルコードを見るとどうゆうふうに次元を下げられるかが乗っているので、そんな感じで。